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ヨーロッパ勢の復活が期待される名古屋場所。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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posted2008/07/10 00:00

 カド番大関琴欧洲の初優勝。夏場所での見事な復活劇に横綱同士の結びの一番が水を差した。勝負が決した後に土俵上で起こった小競り合いは、何とも後味の悪いものだった。朝青龍、白鵬それぞれに言い分はあろうが、力士の模範たるべき横綱が、決して起こしてはならない大失態である。この瞬間、横綱の品格は失墜し、権威は地に落ちた。

 喧嘩両成敗の原則に基づき、理事長から厳重注意がなされたが、両横綱には猛反省を促したい。祖国モンゴルを離れ、一心不乱に稽古に励み、駆け上った相撲界の頂点。傍目にはうらやましい限りの出世だが、その頂に居続けるのは並大抵ではないことを、両横綱は理解していたのだろうか。心技体、全てにおいて研鑽し続けることが要求される孤高の地位であり、出来て当然、勝って当然の厳しい立場なのだ。70連勝を阻まれた際の双葉山の「我、未だ木鶏たりえず」という言葉を範とし、未成熟な「心」の部分を徹底的に鍛え直してもらいたいものだ。

 次の名古屋場所は、モンゴル勢の天下に約2年ぶりに風穴を開けた琴欧洲が連覇を達成するか、そしてその綱取りに最大の注目が集まる。先場所一変した心技体に、さらなる肉体改造・技術改良・精神強化を施しての「進化した琴欧洲」がお披露目されるのだろうか。

 しばらく足踏みしていたヨーロッパ勢も、琴欧洲の優勝を機に若手に勢いが戻ってきた。若ノ鵬(ロシア出身)、栃ノ心(グルジア出身)らに続き、今場所三保ヶ関部屋の阿覧(ロシア出身)が新十両の土俵に臨む。初土俵から所要わずか9場所での関取昇進は、史上7位タイのスピード出世。たどたどしい日本語で「うれしい。気持ちいい」と喜びを表現した。

 露鵬・白露山兄弟とは同郷である。13歳でレスリングを始め、16歳で母国のジュニア王者となった。17歳から相撲を始め、日本で開催された2年前の世界選手権では無差別級で市原(現十両)を破って優勝した。相撲技術は未熟だが、強靱な下半身と上半身のパワーは魅力十分な24歳である。均整のとれた185cm140kgの身体に、たくましい胸毛が印象的。化粧まわしの図柄は名前の欧虎にちなんだ虎のデザイン。締め込みの色は黒。

 日本勢には大敵出現だが、阿覧の本格的船出を見守りたい。

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