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名古屋のお寒い内容に角界の将来を案ずる。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

PROFILE

posted2008/08/27 00:00

 名古屋場所には、昭和30年代、「南洋場所」との異名があった。もともと、夏、暑いことで有名な土地な上、当時会場に使われていた金山体育館には冷房がなかったのだ。所々に並んでいた氷柱も焼け石に水で、力士たちはまるで蒸し風呂の中で相撲を取っているようだったという。昭和40年から使われるようになった愛知県体育館は、もちろん冷房完備だが、ひょっとしたら冷房が効きすぎてしまったのか、今年の名古屋場所はお寒い内容だった。

 場所前は話題満載だった。琴欧洲の綱獲りなるか。それとも朝青龍・白鵬の両横綱の巻き返しか。終盤戦の大激戦を多くのファンが期待したが、13日目、名古屋場所はあっさりと“終戦”を迎えた。

 初日、琴欧洲と朝青龍が黒星発進。3日目に琴欧洲が2敗目を喫して、綱獲り消滅。5日目には朝青龍も2敗目を喫し、翌日から休場した。白鵬のみが普段通りの力を見せつけ独走優勝を果たしたが、期待を裏切った2人には猛省を促したい。相撲内容を見る限り、両者とも明らかに準備不足だった。

 琴欧洲は、心と技の鍛錬が欠けていた。過去5連敗中の安美錦や3連敗中の豊ノ島という苦手力士に対し、全くの無策であり、過去と同じ負け方を繰り返した姿には、正直がっかりした。初日の相手が安美錦と知った翌日は、ちゃんこものどを通らないほど緊張したという。金縛り状態で勝てるはずもない。苦手克服の出稽古無しに、大願成就などあり得ない。

 朝青龍は心と体だ。最近は慢性的な稽古不足が指摘されていたが、今場所は場所前の稽古も最悪の状態だった。慣例の出稽古で、これまでカモにしていた琴光喜に、2度も5連敗した。振られてあっけなく土俵を飛び出したり、無様に尻餅をついたり、目を覆わんばかりの相撲内容だった。場所直前にも3日連続で稽古を休むなど、相撲を舐めているとしか思えない調整ぶり。他を寄せ付けぬ威光はすっかり失われ、土俵上で横綱を睨みつける力士が続出した。治安悪化のため開催が危ぶまれる場所後のモンゴル巡業にも気を取られ、心ここにあらずでは、今回の結果は必然と言わざるを得ない。

 救世主も出現せず、白鵬が独走するのみ。酷暑の中、相撲界の将来を案ずる私の背中を、一筋の冷や汗が流れ落ちた。

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