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選手にとって真に価値ある代理人とは。 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

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photograph byYukihito Taguchi

posted2007/12/13 00:00

選手にとって真に価値ある代理人とは。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 某クレジットカードのCMではないが、今オフは“プライスレス”な契約が相次いでいる。1億ドルプレーヤーが3人も誕生した昨オフとは対照的だ。

 11月20日、M・ローウェル三塁手がレッドソックスと新たに3年3750万ドルで合意。他球団からはそれを上回る金銭的条件が出ていたという。「私はビジネスマンである以上に野球選手。居心地がよくて、ワールドシリーズで勝つチャンスがあるチームを考えた」。ヤンキースを退団濃厚と見られていたA・ロドリゲス三塁手が、10年2億7500万ドル+出来高で残留したのも同様の理由からだった。「一度でも世界一になれるなら、三度のMVPを喜んで捨てる。ワールドシリーズ制覇を成し遂げていないから、このチームを離れないんだ」。ロドリゲスの場合、他球団が尻込みした背景もあるから額面通りには受け取れない。ただチャンピオンリングを手にするのがメジャーリーガーの本懐で、お金では解決できないことを優先したのは確かであろう。

 ロドリゲスについては当初、10年3億5000万ドルが最低ラインと代理人が怪気炎を上げ、ヤンキース首脳を激怒させた。今回の契約に基本合意した際、ロドリゲスはその代理人抜きで球団と直接交渉して真意を訴えた。タイガースからFAとなったが残留を強く希望するK・ロジャーズ投手も、他球団との交渉のテーブルにつくことを主張した代理人を解雇。両者の代理人がともに“タフ・ネゴシエーター”のS・ボラスだったことは、選手と代理人との関係を改めて考えさせられる契機にもなった。

 もちろん、R・シャピロのような長期的な視野に立つ代理人も存在する。C・リプケン(オリオールズ)など5選手が殿堂入りし、3選手が単一球団でキャリアを全う、現在もJ・マウアー(ツインズ)やR・イバネス(マリナーズ)のような優良クライアントを顧客に持ち、USAトゥデー紙で「最も尊敬される野球代理人の一人」と紹介された人物だ。エージェントは選手の意向を最大限に汲み取って交渉にあたるからこそ“代理”人であり得る。“お金で買えない価値”を大切にする選手にとってみれば、それを好アシストする代理人との邂逅が、もうひとつの“プライスレス”なのかもしれない。

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