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“キモ強”北岡悟は、
惨敗を乗り越えられるか。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2009/08/25 06:00

'08年5月からの連勝が6でストップ。驚異的強さを見せていただけに、敗北の衝撃も大きい

'08年5月からの連勝が6でストップ。驚異的強さを見せていただけに、敗北の衝撃も大きい

 北岡悟が敗れた。8月2日、廣田瑞人を挑戦者に迎えて行われた戦極ライト級チャンピオンシップ。巷では北岡有利を予想する声が大きかったが、試合では意外にも途中から失速。4回に入ると、がぶられた状態から頭部にヒザ蹴りを連打されて万事休す。最後はレフェリーに試合を止められた。

減量失敗に加え、必殺技を完封されたのが敗因。

 敗因はふたつ考えられる。ひとつは減量に失敗したこと。今回は決戦5日前に行われた公開スパーの時点で、北岡はあと9kgも減量しなければならなかった。果たして前日計量はクリアしたものの、度重なる無理な減量でコンディションを崩してしまったことは否定できない。

 もうひとつは廣田陣営が徹底して北岡の動きを解読していたことだ。例えば、北岡からテイクダウンを奪われた直後の両足のポジション。アキレス腱固めなど足関節技が得意な北岡の動きを察知して、足首をとられやすい位置に置くことはなかった。その効果は抜群で、北岡が足関節を狙うシーンはほとんど皆無。かけたくてもかけられなかったのだろう。

 そこで北岡はもうひとつの必殺技――フロントチョークに頼らざるをえなかったと推測できる。が、こちらの方もマークされていた。北岡のフロントチョークが失敗したのは廣田のボディに両脚をクロスできなかったからにほかならない。

北岡時代を築けぬままに引退してしまうのか。

 昨年11月、圧倒的な強さで北岡は戦極ライト級GPを制覇。その勢いで2カ月後には五味隆典も秒殺して戦極ライト級王座も獲得した。その強さを目の当たりにしたら、北岡時代は当分続くように思われた。だが、どこの舞台にも、絶対王者など存在しない。案の定、思わぬ伏兵に足をすくわれてしまった。

 北岡のショックは大きく、試合後は記者団に対して「今までありがとうございました」と頭を下げた。額面通りに受け取ったら、引退を示唆しているとしか思えない。その直後、戦極広報に対しても、北岡は同じ発言を繰り返した。

 8月中旬の時点で正式発表はないが、北岡の腹は決まっているのかもしれない。もっとも、敗戦直後の選手は必要以上に落ち込むものだ。引退を口にしたり、ほのめかしたとしても、その後撤回、現役を続行するケースも多い。北岡の練習仲間である青木真也もそうだった。今の北岡にはじっくり考える時間が必要だ。

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► ただいま上り調子の“キモ強”北岡悟。 (2008年12月4日)

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