杉山愛がウィンブルドンで長いトンネルを抜けた。シーズン開幕直後の全豪では3回戦に進出したが、その後、ツアー8大会連続で1回戦負けを喫していた。全仏の1回戦で敗れた杉山は、疲れた表情でこう言った。「練習ではよくても、試合で力を出せない」。プレーの歯車がどこか狂っていたのだろう。
9年間、二人三脚でやってきた母親の芙沙子コーチと離れ、元デ杯選手の寺地貴弘をコーチに迎えて心機一転で臨んだウィンブルドン。杉山は1回戦でシード選手のシュナイダー(スイス)を破る。個人戦では約5カ月ぶりの勝利だった。「やっと自分らしさが戻ってきてくれた」。ゲームセットのコールと同時に、うれし涙が溢れていた。
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photograph by Hiromasa Mano