JRAの馬券売り上げは、平成9年の4兆円強という数字をピークに、翌年から11年連続で下降線を描いている。これはバブル崩壊以降の世間の景気とほぼ同じ曲線。それだけに娯楽産業としては仕方のない流れであるとも言える。
平成20年のそれは2兆7502億円。前年比で99.68%だから、未曾有の不況のなか、よく頑張ったと評価すべきだろう。個人的には、2割減という数字が発表されてもおかしくないと思っていただけに、競馬の底力を見直したほどだった。
しかし、JRAは数年前から推し進めてきている「トータルコストダウン政策」を今年度の予算でも継続。特に、今年は対外的なメンツを保つ意味でも絶対に手をつけないだろうと言われていた、賞金の減額に踏み切ったことが注目されている。いわゆる「聖域」に踏み込んで9億円の削減をしたほか、馬主協会賞で6億5000万円、馬主相互会の助成金で1億5000万円など、総額21億5000万円の減額予算。おそらく、99.68%という頑張った数字が計上される以前に決められてしまっていた予算なのだろうが、競馬に関わる仕事をしている多くの人たちにしてみれば、モチベーションを奪われる発表であったのは想像に難くない。
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