強行された新富士・日本GP。大惨事にならずに心からよかったと思う。もう二度とこういう“レース”をやってはいけない。雨と霧が立ち込める中、ドライバーも観客も視界ゼロの最悪なコンディションにもかかわらず、土曜午後の予選、日曜の決勝はスケジュール通り進められていった。
FIA競技運営団と、主催者は別個の関係にある。したがって、富士スピードウェイ側が公式コメントとして「(悪天候下での進行には)我々は関知していない」と言い切る事はできる。
今までの取材経験では、300m先も見えないくらいの霧の中、走行が許されたケースはない。F1は秒速100m近いスピードで戦う。3秒先に何があるか分からない状況で突進させたら、マシン接触事故、コースアウト事故、ひいては観客を巻き込むという最悪の事態も起こりうるからである。世界一長い1475mストレートの3分の1が見えるかどうか。主催者は競技運営団が何と指示しようと、体を張ってでも「走らせるのは止めて下さい」と主張する立場にある。ましてや22台が剥き出しのタイヤから水煙を上げてストレートを走れば、当日風速1m(スタート時)の状況では、視界は限りなくゼロに近くなる。旧富士時代から自分は何度も国内のイベントが開催中止になるのを現場で見てきた。F1のスピードだけに、危険度が一層高まるのはいうまでもないだろう。
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photograph by Hiroshi Kaneko