「僕らが下を向くことはないんです」
11月24日の秩父宮。大東大を破り、関東大学ラグビーリーグ戦グループ初優勝を決めた東海大の木村季由監督は静かに言った。グラウンドでは胴上げはおろか、手を突き上げて喜ぶ選手もいなかった。
創部から45年、木村監督の就任から10年目の初栄冠。なのに笑顔がないのは、それが関東学院大の不祥事による「棚ボタ」優勝だったからだ。
「ウチは関東学院さんには1点差で負けています。ただ、リーグ戦を一戦一戦しっかり戦ってきた結果として今日がある。そう理解しています」(木村監督)
関東学院大ラグビー部員2名が、大麻取締法違反で逮捕されたのは11月8日夜。同校は、二転三転の末に今季の対外試合を自粛すると発表したが、事件は佳境を迎えていたリーグ戦を動揺させた。優勝を、大学選手権出場を、そして入れ替え戦回避をかけて、リーグ戦はあらゆる順位に意味があるのだ。
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photograph by Shinsuke Ida