寄る年波に立ち向かう38歳の意地だった。楽天の前田健太が6月25日の西武戦で力投し、移籍後初勝利を挙げた。仙台のお立ち台で「まだまだ若いんで」とくり返し、メジャー帰りの白星に浸る。スマートフォンを手に取ると同い年の盟友で中日の大野雄大からSNSのメッセージが届いた。
《初勝利、おめでとう。早く大野に追いつきや》
気が置けない仲間の粋な祝福である。
《大野さんにはまだまだ及ばないです。程遠いです》
ふたりの“ラリー”は1週間後もつづいた。7月3日に大野が巨人を8回無失点に抑えて6勝目を挙げると、翌4日は前田が日本ハム戦で完封目前の2勝目を摑んだ。
前田は日々抱く思いを明かす。
「雄大が頑張っているのもすごく見ているし、『'88年組』が少なくなりライバルから仲間になってきました。昔は絶対に負けたくなかったのが、みんなでもう一回、頑張りたいよなって。刺激し合って、高め合ってという気持ちは強くなっています」
1988年度生まれの選手たちがドラフト1位から育成まで続々とプロ入りしてきた。ウサギとカメが入り交じる競走が長年、つづくなか、いまや伴走しながら、さらに前へと歩を進めているのだ。
2006年8月20日、21日から始まった
このデッドヒートはいつ、はじまったのだろう。少年の頃から野球を愛し、眠らないウサギの筆頭でありつづけた前田は言う。
「僕らの世代に対する注目は、ここがスタートです。プロに入ってから輝けたのは、この試合があったからじゃないかな」
2006年8月20日、21日。
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