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「マジでやめてほしいっす」坂本誠志郎が抱く“聖人キャラ”への違和感と捕手としての“ご飯屋さん”理論「石井大智が中華料理屋なら…」「才木はメニューが少ないお店」
坂本誠志郎が本気で頭に血を上らせた回数は今季、たった一度しかない。
「1球目が頭の近くに来て、2球目に当てられた。それはちょっとあかんやろと」
8月2日の敵地ヤクルト戦。4点リードの8回2死一、三塁、右腕・木澤尚文の初球カットボールが頭部付近にすっぽ抜けた。2球目のシュートは左腕に直撃。坂本は目を見開き、マウンド上をにらみつけた。
めったに感情をあらわにしない男にしては珍しい激高。もちろん理由があった。
「神宮球場の狭さを考えたら、シュートピッチャーが打者に近いところへ投げないといけないのはよく分かる。攻め方をどうこう言うつもりはないけれど、プロとして同じミスは良くない。それにね……」
数秒ほど間を置いたあと、当事者は最後にナインの胸中を代弁した。
「優勝した2年前の8月も梅野さんが当てられていたじゃないですか」
思い返せば、梅野隆太郎は'23年8月13日のヤクルト戦で死球を受け、左尺骨骨折で残りのシーズンを棒に振っていた。
坂本は死球を当てられた瞬間、スタメンマスクを長年争ってきた先輩捕手の無念を脳裏によみがえらせたのだという。
今回も相手投手こそ違えどチームは同じ。要約すれば、虎のリーダー格は「ここで黙っていたら仲間に示しがつかない」と瞬時に判断したわけだ。
頭脳派捕手は今夏、ちまたで定着しつつある“聖人キャラ”に「マジでやめてほしいっす。みんな、僕のことをよく分かっていない」と困惑していた。
4月の広島戦では頭部死球を受けた直後、激怒する藤川球児監督を「相手はルーキーなので」と止めにかかった。中日ドラフト1位左腕の金丸夢斗が打席でエルボーガードの装着に手間取っていると、そっと手を差し伸べて話題にもなった。すっかり阪神の伝統となった試合後ベンチのゴミ拾いも、実は坂本が先駆者だったりする。
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