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「逆境は人間をクリエイティブにするよ」ドジャースはなぜメッツに勝てたのか?第2戦の「最善の敗戦」も鍵に【リーグ優勝決定シリーズの深層】

2024/11/16
<GAME 1>大谷は2回、メッツ先発の千賀から右前に適時打。千賀は制球難の4四球が響いて2回途中3失点KO
リーグ優勝をかけて千賀滉大擁するメッツと激突。ドジャース投手陣は負傷者が続出する苦境にあった。監督会見、クラブハウスを取材して見えてきたのは総力戦に臨むベンチとブルペンの信頼関係だった。(原題:[リーグ優勝決定シリーズvs.メッツ]逆境が生んだクリエイティブ。)

 入国審査官の典型的な質問だった。ロサンゼルス国際空港で、私は滞在期間を伝える。

「ドジャース次第なんだ。シリーズがもつれれば長くなるけど、最短で1週間くらいかな」

 すると、仏頂面だった彼は小さく笑みを浮かべて言った。

「なら、長くなるね。でも大丈夫。最後はドジャースが勝つよ」

 10月12日、リーグ優勝決定シリーズ開幕前日のドジャースタジアムに入った。

 17時に監督、デーブ・ロバーツが姿を現す。前夜にパドレスを下した余韻と、翌日にメッツとの初戦を控える緊張が交錯する会見場。30人ほど集まった記者の質問にも、パドレス戦のレビューとメッツ戦に向けたプレビューが入り交じる。

「このシリーズではブルペンゲームが1、2回ある」

「(過去のポストシーズンで)私はクレイトン・カーショウをリリーフ起用した。その判断は神経をすり減らすものだった」

 ドジャースの投手陣には負傷者が続出している。先発のタイラー・グラスノーやギャビン・ストーン、さらには地区シリーズで好投したリリーバー、アレックス・ベシアも離脱した。それゆえ初回から中継ぎ投手を細かく繋いでいく「ブルペンゲーム」を強いられている状況だ。

 ドジャースの先発はジャック・フラハーティ、ウォーカー・ビューラー、山本由伸。この3人で3日間、もう1日はブルペンゲームという方式でローテーションを回す。

 なぜ、これほど離脱者が続出しているドジャースが、パドレスに勝てたのだろうか。記者席で隣に座った米誌スポーツ・イラストレイテッドの記者、ニック・セルべに何気なく尋ねると、彼はこうつぶやいた。

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photograph by Yukihito Taguchi

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