ドラフト1位で入団した今季、持ち前のマウンド度胸で淡々と快投を披露し、2桁勝利・規定投球回到達・リーグ2位の防御率と、先発としての仕事を全うした。マイペースなレオの新人左腕が、しなやかに駆け抜けたシーズンを振り返る。(原題:[獅子の黄金ルーキー]武内夏暉「無理せず、気負わず、こだわらず」)
恐るべきルーキーだ。
「味方の攻撃のとき、自分はベンチにはあまりいないですね。とにかく体を休めたいので、裏に行ってボケーっ、ダラーっとしています、アハハ。攻撃は見ていますけど、もう本当に体の力を抜いてダラっとしながら見ていて。点が入りそうで入らなかったときですか? 自分のピッチングには関係ないですかねぇ。自分が抑えればいいやって感じで」
プロ入り1年目の2024年、先発ローテーション入りを果たすと、初登板の4月3日のオリックス戦で7回を投げて被安打1、7奪三振の好投を見せプロ初勝利を挙げる。その後の2試合も、勝ち星こそつかなかったがいずれも7回までマウンドを守るクオリティスタート。7月4日までにライオンズ投手陣でトップとなる5勝を挙げ、シーズン序盤、黒星が先行するチームの苦しい状況を唯一、照らす光となった。
ピンチを迎えても顔色一つ変えずに思い切り腕を振る姿は、まるでその状況を楽しんでいるかのようにも見えた。
「実際はピンチを楽しんでいるわけじゃないですけど(笑)、自分でも大事にしているところで。まだ起きてもいないマイナスな出来事を勝手にイメージしてしまうと、結果的に打たれることが過去にはありました。慎重になり過ぎてボールを置きにいったり、中途半端な気持ちで投げたときには必ず打たれる。自信を持って投げた球を打たれるより、そっちの方が絶対悔しいですから」
マウンドでの貫禄ある姿とは打って変わり、まだあどけなさの残る笑顔で語る。
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photograph by Rei Itaya