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【独占告白】「ホームラン40本は無理じゃない」佐藤輝明、“楽観主義”の25歳が本格開花へ《サトテルを変えた岡田監督の決断とは?》

2024/03/28
昨年はキャリアハイの92打点をマークした佐藤
これまでのキャリアに壁も試練もあったように映る。だが本人の心の奥底にある思いは「なんとかなるやろ」。プロ入り3年間を振り返る言葉でわかったのは、未完のサトテルはまさに泰然自若、ポジティブ思考の持ち主だということだった。

 今年、佐藤輝明はプロ入り4年目のシーズンを迎える。たかが4年、しかし初々しかった大学1年生が、貫禄ある最上級生に変貌できるだけの時間である。プロ4年生になった佐藤には、1年生だったころの自分がどう見えるのだろうか。多くの大学1年生が、新社会人が、ほぼ例外なく直面する衝撃や壁に直面していたのだろうか。

「いやあ……」

 困ったように彼は苦笑した。

「あんまり感じてなかったかもしれないですね。大学の時も、野球以外の寮生活とかで戸惑うことはありましたけど、うわ、大学4年生ってオトナやわ、めっちゃ凄いな、みたいなのはなかったかも。プロに入った時も、凄い生意気なんですけど、野球に関しては全然なかったかもしれない」

 もちろん、3年間飲み続けたプロの水が、少しずつ自分に変化、あるいは成長をもたらしつつあるという自覚はある。

「1年目はとにかくガムシャラにやってただけで、余裕はまったくなかったです。試合前の準備や流れみたいなのがわかってきて、少しずつ余裕が出てきたというか。バッティングだったらよりフォームを考えたり、配球にも意識が向くようになった。あと、やることがシンプルになってきたかな」

59打席連続ノーヒットにも「なんとかなるやろ」。

 もちろん平坦な道ばかりだったわけではない。ルーキーイヤーにはセ・リーグワースト記録を更新する59打席連続ノーヒット、などということもあった。

「それまであんなことは一度もなかったんで、壁と言えば壁だったのかな、あれが」

 悪夢の始まりは2021年8月22日の中日戦だった。そこから10月3日の中日戦まで、途中初の二軍降格も経験した彼は1カ月以上、一軍でヒットを打てなかった。「もうあかん」と弱音めいた言葉を発したこともあったという。ただ、本音は違った。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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