#860
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「『俺を出せよ』と心の中で…」 「俊輔を外すタイミングもすごく考えた」遠藤保仁と岡田武史が語りあった日本代表への本音と秘話《師弟対談/2014年》

2024/02/03
史上最強との期待を背負ったザックジャパンはなぜ、本番で力を発揮できなかったのか。南ア大会を共に戦った指揮官と司令塔がブラジルW杯と日本代表を本音で語り合う。(初出:Number860号岡田武史 × 遠藤保仁 [師弟対談] 勝負に徹するか、スタイルを貫くか。)

―ブラジルW杯、日本は1分2敗でグループリーグ敗退でした。解説者として現地に行かれ、初戦のコートジボワール戦と第2戦のギリシャ戦を解説された岡田さんと、3度目の出場となった遠藤選手に、改めて語っていただこうと思います。岡田さんは日本の戦いをどうご覧になっていましたか。

岡田 力はあるのに出し切れなかったというのが素直な感想です。1勝もできずに敗退という結果に「世界との差が大きい」との声も耳にするけど、僕はそうは思わない。W杯はそれぞれのチームが国を背負って負けられない戦いをする場。日本はその中でもっとも大切な「国の代表として、勝つために必死に戦う」という根底部分を忘れて、戦術に頭が行き過ぎた。ちょっとしたボタンの掛け違えのような気がしています。

遠藤 僕らは僕らでW杯に臨む前からベストを尽くしたつもりですけど、やっぱりW杯はそう簡単に勝てる大会ではない。取られたボールを全力で奪い返しに行くとか、カウンターを喰らったら全員がダッシュで守備に戻るとか、当たり前のことを、気がつかないうちに当たり前にできなくなっていました。

岡田 コートジボワール戦では、先制した後から、「まあ、これでいけるんじゃないかな」というプレーが多かったように見えた。ヤットが言うように、『気がつかないうちに』そういう流れになっていたんじゃないかな。僕は常々、サッカーの世界では、たった1回、「これは大丈夫だろう」と追いかけないなど、小さなことが勝負を分けると考えてきた。ところがW杯で負けられない気持ちが強くなるにつれて、リスクあるプレーができなくなってしまう。実際は本番で何ができるかが勝負なのに、コートジボワール戦では「勝ちたい」「勝てる」と感じる選手が多くなって、逆に怖がっているように見えた。

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photograph by Kenichi Higuchi

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