「ちょっと、ジコチュウになろうかなと思ってます」
スペインで6年目を迎える乾貴士の、新シーズンを前にした決意だ。
日本人が活躍できない舞台といわれたリーガで戦い、出場試合は138試合に到達した。時代は変わり、乾がひと足早く歩んできた道の上を、今では多くの日本人選手が歩んでいる。
そんな先駆者が、開幕を前に頭に描くのは“変化”だ。
「今季は何かを変えていかないといけない。昨季は残した2ゴール、3アシストという数字もそうだし、チームへの貢献度も少なかった。特に攻撃の部分では物足りなかったので、何かを変えていかないと……。まずは監督に怒られてもいいからもっと仕掛けること。“ボールを取られても別にいいや”というぐらいの感覚でいきたいですね。チームメイトに“パス出せ”って言われても、自分でシュートを打ったり。監督に言われたことだけじゃなくて、自分がやりたいことをやっていこうかなと」
信頼できる選手になれた、でもキレを失った
所属するエイバルはスペインにおける小クラブだ。戦力的に見ても、全員のハードワークがなければチームはもたない。そして汗をかくサッカーを標榜するホセ・ルイス・メンディリバル監督の下では、例えばバルセロナにおけるメッシのような、何をしようがすべてが許されるという選手はいない。
そんなチーム事情に影響を受けたか、昨季はチーム内のタスクにとらわれすぎているようなプレーもあった。
「最近は周りとのバランスを考えて、自分が生きる、自分が目立つ、ということが二の次になっていた。自分が点を取らなくてもいいや、とも。そこを変えて俺が常に点を取る必要はないけど、ドリブルの数を増やしたり、仕掛ける回数を増やしたりしたいんです」
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