頑健にして豪胆。楽天にして理知。そしてとことん攻めまくる。相手がどこの誰それであろうと、何も変えない、変わらない。彼らはフランスの地でフルスロットルのパッションをたぎらせ、世界中の楕円愛好者を唸らせた。今、ラグビーは南米がアツい!
2023年フランス大会で、ラグビーW杯は、'11年NZ大会のロシア以来3大会ぶりに新顔を迎えた。
やってきたニューカマーは南米のチリだ。アメリカ地区予選で'21年にカナダ、'22年にアメリカとのホーム&アウェー戦をともに1勝1敗、得失点差で競り勝ち、史上26カ国目の出場権を獲得。そのチリが、初めて乗り込んだW杯初戦の相手が日本だった。
9月10日、真夏の日差しが残るトゥールーズで、W杯デビューとなったチリの選手たちは、80分間途切れることなく、情熱をほとばしらせて日本代表に挑み続けた。
開始6分、キックのこぼれ球を拾ったSOロドリゴ・フェルナンデスが記念すべきチリのW杯初得点となる先制トライを決め、コンバージョンも成功。その後、日本に逆転を許すが、後半8分にはポニーテールのFBイナキ・アジェルサの突進からNO8アルフォンソ・エスコバーがトライ。最終スコアは12-42まで開いたが、スコア以上の激戦。戦い終えたFLマルティン・シグレン主将は「望んでいた結果とは違ったけれど、今日のパフォーマンスは誇りに思う」と胸を張った。
チリと戦った80分は日本の選手たちにとっても貴重な時間だった。ゲーム主将を務めた流大は「チリが素晴らしかった。W杯ではどんな試合でも勝つのは難しい」と初陣を戦った相手を称賛。日本の大黒柱・リーチマイケルも「チリは予想通り、素晴らしいパッションを持ったチームだった。感情をぶつけてきて、80分間ずっとプレッシャーをかけられた」と学びを強調した。
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photograph by Yuuri Tanimoto