'93年に華々しくJリーグが開幕してから、はや30年。記念したイベントや企画、番組などいろいろとつくられている。
10からスタートしたクラブ数は今や60まで膨れ上がり、それぞれ地域に根を張ってきて今がある。“バブル”はとっくに弾け、日本代表に名を連ねる国内組も圧倒的に少なくなった。アンドレス・イニエスタが去ると、世界的な知名度を誇るスタープレーヤーもいなくなる。秋春制移行が議論されるなど「どうするJ」と岐路に差し掛かっていることは間違いない。
ならばJの魅力とは何か――。あらためてセールスポイントを理解しておけば進むべき方向性が見えるやもしれない。
ヒントになりそうな人がいる。Jを経由せずアーセナルをはじめ欧州でプレーし、'21年夏に横浜F・マリノスに加わった宮市亮だ。Jと同じ30歳。インタビューをする機会があったので、最後にちょっと脱線して彼が思う「魅力」を聞いてみた。
「欧州に比べてエンターテインメント性が高いとは感じます。スタジアムの演出にこだわったり、いろんなグルメがあったり、年齢層関係なく、それにサッカーをあまり知らない人でも楽しめる空間。何でも欧州に合わせていく必要はなく、そこはもうジャパンズウェイでいいんじゃないかなって個人的には思いますね」
彼の人気はチーム随一と言ってよく、ファン、サポーターの心をがっちりと掴んでいる。右ひざ前十字靭帯断裂の大ケガから復活し、6月10日の柏レイソル戦では乱戦にピリオドを打つ決勝ゴールを挙げて日産スタジアムを沸騰させた。クラブやチームに対する強い思い入れが劇的なドラマを生み出した。ただ同じようなシーンは全国各地で起こっている。
「欧州からJリーグに来て、試合に向けてクラブのみなさんが頑張っている姿を直接目にする機会も多くなりました。F・マリノスに関わる誰もが“このクラブのために”と思っていることが凄く伝わってきますし、ファン、サポーターの存在もそうですけど(勝利して)みなさんと一緒に喜びたいという思いが強いです」
エンタメも、クラブ全体の一体感も“Jズウェイ”。育んできたものを自信を持って積み上げていけば、その先に明るい未来はきっとある。