自身のPK失敗もありベスト16で敗れたクロアチア戦後、涙が止まらなかった。悔しさを噛み締め、責任を感じた。発展途上の控えめなドリブラーは初のW杯で味わった屈辱を糧として、この先どんな進化を遂げるのだろうか。
とめどなく溢れる涙はピッチを離れ、テレビインタビューを受け、ペン記者が待つ取材エリアにやって来ても止まらなかった。
「PKを蹴った責任はあるんで、迷惑をかけたなと思います」
そう絞り出した三笘薫は、キッカーに立候補したことを確かめられると、涙を拭いながら、はっきりと答えた。
「はい、そうですね。勝たせたいと思って。前日練習でも決めましたし。フィーリングが良かったので、蹴りましたね」
終わったばかりのクロアチア戦、日本は前半の終了間際に前田大然のゴールで先制してみせた。しかし、後半に追いつかれ、120分間でも決着がつかず、勝負の行方はPK戦に委ねられた。
ピッチ上で円陣が組まれ、森保一監督がキッカーを募る。約5秒の沈黙のあと、南野拓実が最初のキッカーとして手を挙げ、それに三笘が続いた。
だが、ゴール右を狙った南野が相手GKのセーブに遭うと、左隅に蹴り込んだ三笘の渾身ショットも弾き出されてしまった。
「(GKは)見てないです。思い切り蹴っただけです」と振り返った三笘は、自身がキッカーとなったこと自体に疑念を抱いているようだった。
「悔しさしか残らないですし、スタッフ、ベテラン選手、監督も含めいろんな人たちの思いがあったなかで、自分が蹴るべきだったのかなって、ちょっと思います」
長友佑都が「勇気を持って蹴った選手たちを讃えてほしい」と語ったことを伝え聞くと、さらに感情が揺さぶられた。
「長友さんを含め、先輩が繋いできたところがあって、それを受け継ぐ覚悟ができていたので手を挙げたんですけど。また頑張りたいと思います、ここから……」
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photograph by Tsutomu Takasu