この4年間、主将として、チームへの批判の矢面に立ち続けてきた。コスタリカとの第2戦では失点に絡み、辛辣なバッシングにも晒された。それでも、一切揺らがなかった。自身のプレーで全てを跳ね返し、勝利を手にした直後。報道陣の前で発した第一声は、実に彼らしい言葉だった。
日本代表史上、最も“叩かれた”男かもしれない――。国際Aマッチの出場は、スペイン戦が125キャップ目。わずかなミスが即失点につながるセンターバックとGKの選手では、日本歴代最多の数字だ。
2010年のA代表デビュー以来、試合に敗れれば「ポカが多い」「スピードが足りない」と言われ続けてきた。特に'18年ロシアW杯後、長谷部誠からキャプテンマークを引き継いでからは、自身のプレーだけでなく、チームへの批判に対しても矢面に立ってきた。今年6月のキリンカップ・チュニジア戦では3失点に絡み、「スタメンから外すべき」との声も挙がった。
カタールW杯が始まっても“炎上”は続いた。コスタリカとの第2戦、0-0で迎えた81分のことだった。自陣深くで伊藤洋輝が頭で弾いたボールを、浮き球パスで守田英正につなごうとした。残り時間が限られた中で勝ち点3を得ようと、なんとかマイボールにするための選択だった。
このパスが、狙いよりも高く浮き上がり、右にずれた。守田が懸命にスライディングで足を伸ばすも、攻勢をかけてきたコスタリカにボールを拾われる。直後、フレールのシュートがゴールに吸い込まれた。これが決勝点となり、まさかの敗戦を喫した。
試合直後から、罪を犯したわけでもないのに、「戦犯」という言葉で罵られた。SNSには「お前のせいで負けた」など、汚い言葉が次々と書き込まれた。
はたして吉田本人は、辛辣なバッシングとどう向き合っているのか。大会前、ふと訊いたことがある。
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photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA