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[起死回生の同点弾]堂安律「“背番号8”に魂込めて」

2022/12/07
「俺が決めるという気持ちで入った」と後半から途中出場。75分に日本を甦らせる同点ゴールを奪った男は、切り札としてこれ以上ない働きを見事にやってのけた。この日のために積み重ねてきた強い思いとともに。

 ヒーローになれるのは、ヒーローになるための準備をしてきた者だけだ。

「この5~6日、脳のなかでゴールを決めるイメージをしすぎて、眠れないくらいでしたから。でも、夢見た通りの結果ですね」

 ヒーローになるための努力なら誰にも負けない。堂安律はそう確信している。

 何しろ、大会前に筆者にむかって、こう話していたくらいなのだから。

「W杯は4年に1回の大イベントですけど、そこで活躍できるヤツは、今まで努力してきた人間だと思っています」

 果たして、その努力はドイツ戦での起死回生の同点ゴールで実を結んだ。

 彼の努力を挙げるには、ページがいくらあっても足りない。ここではハートで闘う堂安らしいエピソードに目を向けていく。

 今年の夏、昨シーズンのドイツ最優秀監督に選ばれたクリスティアン・シュトライヒが率いるフライブルクへ移籍した。数多のオファーからこのクラブを選んだのは、交渉の過程で、自身の課題を指摘されたからだ。選手を獲得したいと考える立場の人は、たいてい、聞こえの良い言葉ばかりを並べる。だが、フライブルクとシュトライヒ監督は違った。堂安が克服すべきポイントをあえて挙げ、こう訴えかけてきたのだ。

「オマエをさらに成長させたいのだ!」

 フライブルクでは、チーム練習後、選手各自が成長するために1時間を費やすというルールが課されている。グラウンドでテクニックを磨いてもいいし、ジムで身体を鍛えてもいい。育成部門で名を上げた名将シュトライヒがいるからこその取り組みだ。

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photograph by Atsushi Tokumaru

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