本場の識者たちを唸らせる能力に異論の余地はない。代表でセンターバック、クラブではサイドバック。完成形は守備大国の言わずと知れたレジェンドだ。W杯の鍵を握る日本最強DFを現地評から紐解く。
冨安健洋は過去2シーズンのプレミアで最も評価が高まった選手だ。その目覚ましい成長と進化は、まさに特筆に値する。
たとえば2021年にアーセナルに移籍した際、スカイスポーツの司会者は「サイドバックが本職なのかどうかさえわからない」と揶揄した。だが冨安はプレミアでのデビュー3試合目となるトッテナム戦において、右のサイドバックとして3-1の勝利に貢献。懐疑論を一蹴している。今や監督のミケル・アルテタやチームメイトはもとより、目の肥えたファンからも、チームの躍進を支える屋台骨として絶大な支持を得ていることはご承知の通りだ。
ならば冨安はどこが優れているのか?
サイドバックとして見た場合、彼は豊富な運動量を活かし、敵の攻撃を封じながらラインを押し上げ、攻撃の起点や中継点を作ることもできる。要はモダンなサイドバックに求められる条件を、すべて満たしていると言ってもいい。結果、冨安は攻撃的なサッカーを志向する現在のアーセナルにとって不可欠な人材になってきた。
しかも冨安は、ピッチ上での汚れ仕事を厭わない。かつてリバプールの守備陣を支えたジェイミー・キャラガーも、献身的なプレースタイルを絶賛する1人だ。
「冨安は本物のディフェンダーだ。これは単に守備が強いという意味ではない。サイドバックの中にはウイングのように攻撃参加するのは好きでも、守備に回るのを嫌がるような連中もいる。ところが冨安はハードワークを常に怠らない。そういう姿勢は、個人的にもすごく好感が持てるね」
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