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「3割打者が存在しない時代が来る」メッツ・千賀滉大が語った究極の投球論とは?「意識するのは『体でどれだけ放れるか』」

2022/06/04
常識にとらわれず、マイナーチェンジを繰り返しどん欲に上を目指し続ける、日本を代表する本格派。タイトル獲得に6年連続2ケタ勝利、自己最速更新。それらを達成してきた右腕が数字以上にこだわるものとは。(原題:[快腕が語る究極の投球論(3)]千賀滉大「自分を褒めたいヤツなんて」)

 千賀滉大が驚きの予言をした。

「僕はこの先、3割打者が存在しなくなる時代が来ると思っています」

 5月3日付の西日本スポーツ紙のインタビューコラムにそれは掲載された。ファンの戯言ならともかく現役プロ野球選手の、しかも投手の発言だ。波紋を呼んだ。しかし、千賀にはバッターを卑下するつもりなど毛頭なかった。そう捉えられたのなら誤解である。

 では、一体どんな真意があったのか。今回のインタビューで改めて問うてみた。

「投打に限らず、野球選手の能力は常に進化していると思います。今、本気で上を目指す選手はいろいろ勉強をして、情報を入れ、トレーニングに生かす。そういう環境が整っています。ただ、野手の場合は打つ、走る、守ると練習量が多いので、投手の方が能力向上にチャレンジできる時間がとれるんじゃないでしょうか」

 なお、言葉を継ぐ。

「今のバッターが20年前の野球に戻れば、3割5分とか楽勝で打っちゃうと思うんです。だってあの当時は150kmを投げれば驚かれた。だけど、今は誰でも投げられちゃう。もう少しすれば、160kmが普通の時代が来ると思いますよ。150km台は変化球です。もちろん、バッターも負けじと進化するでしょう。だけど、球のスピード自体がそれだけ上がると、人間の反射神経の部分になるから、技術で埋めるという問題ではなくなると思うんです。さすがに人間の根本を変えることは難しいから」

 たしかに現在のプロ野球において150kmはもはや“大台”と呼べなくなった。かつては一流の指標のように扱われたが、最近ではプロになりたての若手がファームの試合で150kmを連発するのも珍しくない。

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photograph by Hideki Sugiyama

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