#1046
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[記録と、記憶と]村瀬心椛/岩渕麗楽「世界を震わせた無限大の可能性」

2022/02/26
銅メダルを獲得した村瀬心椛
高さ50mのスタート台から滑り降り、空へと飛び立つビッグエア。見事メダルを獲得した17歳と、果敢な挑戦が喝采を浴びた20歳。記録と記憶に残った彼女たちの渾身の戦いぶりを振り返る。

 17歳が“真冬の大冒険”だ。

 スノーボード女子ビッグエア。北京市内の工業地帯につくられたその名も「首鋼ビッグエア競技場」で、高校2年生の村瀬心椛が宙を舞った。元製鉄所の巨大煙突をバックに、大技をダイナミックにメイク。3本滑り、回転方向の異なる2本のベストスコア合計点で競う決勝で合計171.50点となり、銅メダル。17歳でのメダル獲得は冬季五輪の日本女子最年少だった。

「オリンピックに出場してメダルを取るというのが小さいころからの夢だった。皆さんの力があって取れたメダル。本当にうれしいです」

 感謝の気持ちを一所懸命に伝えようとする姿が初々しい。だが、ひとたびボードに乗れば目指すは世界一の演技だけ。恐怖心のリミッターを外して宙を舞った。

 1本目は「バックサイド・ダブルコーク1080」で80.00点。2本目は「フロントサイド・ダブルコーク1080」をほぼパーフェクトにメイク。91.50点という高い得点にガッツポーズが飛び出した。

「2本目で意識したのは、ぶっ飛んで、グラブを長くつかんでビタビタに着って(着地して)やろうということ。それをやらないと表彰台に乗れないと思っていたので、自分で(板を)メチャクチャ走らせました。けっこう飛べたので良かった」

 9日前にあったスロープスタイルでは、予選で2位につけて実力の一端を示したものの、決勝では得意のエアで力を発揮することができず、10位に終わった。初の五輪の舞台で悔しさを味わい、「今度こそメダルを」と意気込んで臨んだビッグエアの予選でも再び2位。決勝では1本目、2本目、3本目と滑るたびに大胆さを増していきながら、精度にもこだわりを持って演技した。

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photograph by Getty Images

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