平昌では「ステイ・ポジティブ」を掲げ、見事歓喜と涙の銅メダル。しかしその後の4年、彼女たちは幾多の逆境と対峙し続けた。前大会主将が語る「ポジティブ」の向こう側とは。
平昌五輪で溢れた彼女たちの笑顔は、多くの人の記憶に強く残っているだろう。日本代表として出場したロコ・ソラーレの選手たちは、チームとして掲げたスローガン「ステイ・ポジティブ」の通り、試合中は互いに常に前向きな言葉を掛け合い、明るい姿を見せ、日本カーリング界初の表彰台となる銅メダルを獲得。日本中の関心を集め、カーリングの認知度向上にも寄与した。
あれから4年。チームの主将を務め、平昌では黒子に徹した本橋麻里は、ロコ・ソラーレの代表となり、新たにメンバーを迎えて、彼女たちは2度目の大舞台への切符を手繰り寄せた。
しかし、そこに至るまでにロコ・ソラーレにはいくつもの関門が立ちはだかった。なかでも、瀬戸際とも表せる状態に陥ったのが、昨年9月、北海道銀行(現フォルティウス)との間で行なわれた代表決定戦だった。ここで勝ったチームは12月の世界最終予選の参加が決まり、上位3カ国のみに与えられる出場権を得れば、そのまま日本代表に決まる。先に3勝したチームが代表権を得る決定戦で、ロコ・ソラーレは連敗を喫し、もう1試合も負けられないという崖っぷちに立たされた。
だが、そのままでは終わらなかった。第3戦からなんと3連勝し、大逆転で世界最終予選の出場権を手にしたのだ。
その転機となった第3戦以降は、試合の中で変化が見られた。例えば藤澤の一投に対し、サードの吉田知那美が「さっちゃん、天才!」と言葉をかける場面。少し大袈裟ともとられる表現だったが、そうした声が彼女たちを鼓舞し、大逆転を引き起こした。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by AFLO