今季目撃した大谷の異次元のプレーは、指揮官との幾重もの対話によって生まれた。揺るぎない関係は如何にして築かれたのか。“二刀流”と歩んだ一年を名将が振り返った。
ジョー・マドン監督は開口一番、今季の大谷翔平をこんな言葉で表した。
「Spectacular」
壮観であり壮大。指揮官は続けた。
「これが最も究極的で適切な形容詞だと思う。シーズン開始前、私とペリー・ミナシアンGMと翔平とで基本的なルールを設けた。私たちの基本的なルールとは、『基本的にルールはない』ということ。つまり本人の自由にさせるということだ。ただ私もペリーも、彼が打者としても投手としても、これほどのレベルで活躍が出来るとは思っていなかった。彼は1日の大半をフィールドで過ごしている。毎日だ。この耐久性、献身性はとうてい過小評価できない。出場するのがやっとという選手がいたり、投手としてまだまだの選手がたくさんいる中で、彼がやっていることは壮大なことなんだ。彼が成し遂げたことは信じがたいほどに素晴らしいとしか言いようがない。来年も同じことができるようにしたい。今、彼がしていることを決して見逃さないでほしい。素晴らしい一年になった」
投手として9勝、防御率3.18、156奪三振。打者として打率.257、46本塁打、100打点、26盗塁。投打同時出場も20試合で果たした。両部門でリーグを代表する成績を残し、出場試合数は投手登録でありながら158にも及んだ。この数字は今季メジャー全体で18番目。もちろん上位17選手は全員が野手だ。選手にとって最大の貢献とは、試合に出続けることである。何よりも評価されていい数字がここにある。
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