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記者が持つべき“裏切る覚悟”。

2021/07/19
記者と取材対象の距離は、いつの世も問われ続けている(写真は橋本聖子五輪組織委会長の定例会見)

 報知新聞(現スポーツ報知)で中日担当になったのは、星野仙一さんの監督就任1年目、1987年のことだった。まだまだ駆け出し記者で、新年の球団開きにド緊張で挨拶に行った。そのとき差し出した名刺を一瞥して、ニコッと笑った星野さんから飛び出たのは、意外な“名前”だったのである。

「オレたちは野球をやるプロだけど、お前のところの“激ペン”は野球を観るプロだ。しっかり勉強して、ああいう記者を目指せよ!」

 飛び出したのは、宿敵・巨人の機関紙、報知新聞の大先輩・白取晋さんの“名前”だった。

 白取さんの名物コラム「激ペンです」は劇作家の井上ひさしさんが「スポーツコラムのお手本」と絶賛し、コピーライターの糸井重里さんらもの書きのプロにも多くのファンがいた。もちろん根底は巨人愛。しかし選手がミスをすれば手厳しく、それをユーモアとペーソスに溢れた筆致で叱咤激励する。背景にあるのは野球に対する深い知識と洞察で、そこが野球をやるプロをも唸らせていた。

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photograph by KYODO

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