この夏の東京で活躍を期す選手たち、そしてオリンピアンたちは、かつてない逆風にさらされる五輪を前に、一体何を思うのか。五輪とは、一体いかなる舞台なのか。今こそ、アスリートの話を聞こう。
高橋尚子
女子マラソン シドニー五輪金メダル
東京オリンピック・パラリンピックへ向けてアスリートたちがこの1年、1%でも可能性があれば突き進みたい、とあきらめずに取り組む姿を見てきました。そして努力が報われるようにと願いながら応援してきました。ただ同時にこの社会に生きる人間として、新型コロナウイルスによって多くの制限や我慢を強いられ、職を失う人もいて、大変な思いをされている方を思うと「皆で頑張りましょう」と言うのは躊躇しています。安心、安全を担保した上で開催することは大切ですし、大会が実現したら大きなメッセージになると思います。ただ、安心安全な開催は当たり前の、前段階のことだと思うのです。その上でみんなが開催したいと思う意義は何だろうとずっと考えてきました。まずは私自身の経験からお話しさせていただきたいと思います。
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photograph by Shigeki Yamamoto