全国高等学校体育連盟(高体連)において、高校の団体競技の部活動で加盟していないのは、野球とアメフトのみ。つまり高校野球とは、はじめから特殊なものなのである。ただ、今や特別な存在としてひとり歩きしていることは問題だ。
本書を通読すると、選手たちへの指導方法だけでなく、長年高校野球が抱えている問題にも警鐘を鳴らしている。例えば、勝利至上主義は選手たちの個性を埋没させ、大事な将来までも危うくさせるということは、30年前から言われ続けていることだ。
著者は慶應大学卒業後、NTT勤務を経て、現在は慶應幼稚舎の教員を務めながら慶應高校野球部を率いている。そうした経験からか、一般社会人の目線から高校野球の意義を見出している。困難を乗り越えて成長というプロセスを経験できるのが高校野球の価値だと信じ、選手の人生の可能性を狭めない指導を行っている。
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