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澤村拓一「復活の咆哮」~電撃インタビュー~

2020/12/10
澤村拓一は衝撃の移籍を経て、マリーンズで復活を遂げた
衝撃の移籍発表翌日、三者連続三振という圧巻の投球で復活の雄叫びを上げた澤村拓一。新天地で見事返り咲き、メジャー球団からも注目される豪腕は、今何を思うのか。

「電撃」は二度、走った。

 一度目は、9月7日だった。巨人の澤村拓一と、ロッテの香月一也の交換トレードが両球団から発表された。澤村が当時のドタバタを振り返る。

「発表があった日の朝、都内のホテルに呼ばれました。急遽、決まったらしくて」

 用件を伝えられる前に澤村はすでにトレードを覚悟していたという。

「ホテルに行く前、母と、仲のいい友人には電話で話をしていました。トレードされることになると思う、と」

 プロ10年目を迎えた澤村は今季、巨人でセットアッパーとして期待されていた。ところが安定感を欠いた投球が続き、7月26日に二軍降格、8月には三軍にまで落とされた。ファーム暮らしが続き「こういうことになるのかな」と予感していたという。

 ――拒否することも考えたのですか?

「まったくなかったですね。わかりました、で終わりです」

阿部からは、「もう一度花を咲かせてこい」と

 実際にトレードを告げられた直後は、真っ先に一軍監督の原辰徳と二軍監督の阿部慎之助に電話で報告した。

「原監督からは『おごらず、高ぶらず、常に謙虚で』という話をしていただきました。阿部監督には『もう一度、花を咲かせてこい』というようなことを言われましたね」

 報道各社から電撃トレードの速報が流れると、次々と澤村の携帯電話が振動した。

「あんなにメールが来たのはドラフト以来でした。300、400件くらい来たんじゃないですか。『がんばってこい』とか、『驚いたよ』みたいな内容でしたね」

 片や澤村は2010年のドラフト1位で、過去にセーブ王にもなったほどの実績の持ち主、片や香月は入団6年目の左の長距離砲だがここまで実績らしい実績はほとんどない。時期が時期だったのに加え、二人のギャップも衝撃を与えていた。

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photograph by Hideki Sugiyama

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