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中村俊輔「10番とは何か、教えてもらった」~永遠のアイドル、マラドーナを語る~

2020/12/04
中村俊輔が憧れたマラドーナとは、どんな存在だったのか
俊輔の軸となっているのは、マラドーナへの憧れだった。

 マラドーナを初めてテレビで見たのは、8歳の時。メキシコW杯のイングランド戦での5人抜き、ベルギー戦でのスルーパスを受けて左足のアウトサイドでチョンと打った1点目、ドリブルで4人抜いて左から決めた2点目に衝撃を受けた。一人で何でもできる、これが10番かと。真似したい、ああなりたいと夢が一気に膨らんだ瞬間だった。

 そして、W杯って、国と国との戦いで、こんなにすごい大会なんだということ、世界一になるとトロフィーをこんなふうに掲げて、こんなに大勢の人に囲まれるんだということも知った。

 その後、スポーツショップの片隅にあるビデオコーナーにあったマラドーナのプレー集を買って、毎日見続けた。ビデオが擦り切れるほど巻き戻して、スローで見て、公園に行っては、オーバーヘッドやヒールキック、ドリブル、切り返しの仕方を真似し続けた。片足で立って急に止まったり、急に動き出すステップワークも。シューズは「マラドーナ」だった。ループシュートも何度もやって、プロになり完全に真似したのが、三ツ沢球技場での横浜F・マリノス×ヴェルディ川崎(2000年8月19日)で決めた斜め45度くらいからのゴール。マラドーナがボカ・ジュニオルスの時に決めた、相手DFを抜く前に打つあれだ。あのタイミングで打つループをいつかやりたかった。

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photograph by Asami Enomoto

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