'80年代にNBAで一世を風靡した“ショータイム・レイカーズ”。黄金期を築いたマジックはチームを5度優勝へ導いた。そんな彼が切実に願ったかつての王朝の再建。復活のミッションを与えられたキング・レブロンは、在りし日のレジェンドを思わせるパスの魔法で、10年ぶり17度目の優勝を手繰り寄せた。
2年前の6月最後の日の夜、マジック・ジョンソンは、ロサンゼルス郊外にあるレブロン・ジェームズの家を訪れた。家の前に車を停めて1時間待ち、夜9時を過ぎてNBAのフリーエージェント交渉が解禁されたのを確認して呼び鈴を鳴らした。
当時、マジックはレイカーズのバスケットボール運営部門代表。その夏の目玉フリーエージェントだったレブロンを勧誘するための訪問だった。他のスタッフを伴わずに1人で行ったのは、1対1で話をしたいというレブロン側からのリクエストだったという。
その夜、2人は2時間以上バスケットボール談義に花を咲かせた。
もともと、レブロンにとってレイカーズが移籍先の第1希望だったこともあって、形ばかりのプレゼンテーションは省き、具体的なチームの方向性や補強計画の話や、エリートプレイヤー同士だからこそ理解しあえる経験談などで盛り上がったという。バスケットボール殿堂入りの名ガードのマジックと、すでにマジックと肩を並べるほどの実績をあげているレブロン。同じレベル、同じ視点でバスケットボールを考える2人の話は尽きなかった。
「自分の分身に向かって話しているように感じた」
マジックはこの会談について、後にこう語っている。
「すばらしい時間を過ごした。僕らは似たところが色々とあるんだ。2人とも中西部の出身で、貧しいなかで育った。競争が大好きで、勝つことが大好きなところも同じだ。ずっと高いレベルの中で実力を発揮してきた。だから、彼の家に入った瞬間から気が合った。2人で自由に話をして、バスケットボールを語り合った」
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