バスケを始めると同時に夢に掲げたNBA。最高峰の舞台に遂に辿り着いたルーキーシーズンを終え、多くのスーパースターたちとの激闘を振り返りながら、思いは時を超えて神・ジョーダンとの初の邂逅へと巻き戻る。
聞き取れなかった激励と、勢いよく叩かれた背中。その衝撃に押されるようにアメリカに渡った“黒き侍”が、そこで得た確固たる自信と、新たな夢について語った。
聞き取れなかった激励と、勢いよく叩かれた背中。その衝撃に押されるようにアメリカに渡った“黒き侍”が、そこで得た確固たる自信と、新たな夢について語った。
NBA入りして間もなく、八村塁に大きな変化が起きていた――。
風格が、大学生だった数カ月前と全然違ったのだ。より厳しい目つきとなり、簡単に表情が緩むことはない。淀みなく質問に答えながらも、何重にも輪を作って取り囲むメディアにつけ入る隙を与えなかった。
同じような変化は、NBAデビューから数年後のコービー・ブライアントやポール・ピアースにも感じたことがある。ともに若いエネルギーを漲らせてコートで暴れ回っていた時代から、より選手としてクレバーになり、ゆくゆくはレジェンドにたどり着くエリートへと段階を進めた時だった。
二人に比べると八村はいち早くその時を迎えたと言える。それはルーキーシーズンを前にした昨夏のワールドカップで、日本代表のエースとして母国からの期待を一身に背負い戦ったことも影響しているだろう。他の若い選手よりも大きな責任感を抱き、勇猛精進の決意でプロ1年目に挑む、そんな思いが彼を変化させたのかも知れない。
八村はルーキーシーズン、通算で48試合に出場し、1試合平均13.5得点、6.1リバウンドをマークした。オールスターでは2年目までの選手から選ばれる“ライジングスターズ”のワールドチーム(米国外出身選手による選抜チーム)入りを果たし、シーズン終了後にはオールルーキーセカンドチームにも選ばれるなど、ルーキーとして十分な結果を残した。
自信というのはバスケットではすごく大事
――ルーキーとしての昨シーズンはひと言で言うとどんな1年だったでしょう。
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photograph by Yoshiyuki Matsumura