圧倒的1番人気で迎えた秋初戦の神戸新聞杯で役者の違いを見せつけ、無敗のクラシック三冠を射程圏内に入れた青鹿毛のスーパーホース。
放牧先での様子と、今年のリーディングを独走する指揮官の言葉から、父の蹄跡をなぞるように三冠街道を駆けていくその姿を追いかけた。
放牧先での様子と、今年のリーディングを独走する指揮官の言葉から、父の蹄跡をなぞるように三冠街道を駆けていくその姿を追いかけた。
日本ダービー以来4カ月ぶりとなった、秋初戦の神戸新聞杯。9月27日、今年は阪神ではなく中京芝2200mで行われたこのレースで、コントレイルは単勝1.1倍の圧倒的1番人気に支持された。抜けた一強との評価にも、騎乗した福永祐一は楽観視していなかった。
「戦前から、ちょっと難しいレースになると思っていました。内枠(1枠2番)が当たったので、いかに上手く進路を見つけて、ストレスなく走らせるかが課題でした」
コントレイルはポンと速いスタートを切った。そのまま出たなりに進んで他馬を先に行かせ、先頭から6馬身ほど離れた7、8番手で1、2コーナーを回っていく。周りを他馬に囲まれ、内埒から馬1頭分ほど間隔を置いたところを走っていた。
その形は、管理調教師の矢作芳人がイメージしていたものとは少し違っていた。
「基本的にスタートのいい馬なので、もうちょっと前に行くと思っていました。1、2コーナーで他馬にぶつけられて、一瞬だけリズムを崩しそうになりましたが、すぐ落ちつきましたね」
向正面に入っても包囲網は解けず、福永はコントレイルを外に持ち出すことができないままレースを進めることになった。
「本当はもっと早く進路を確保したかったのですが、流れのなかで進路を探しながらの競馬になりました。慌てない、ということだけは肝に銘じて乗っていました」
4コーナーを回り、直線に入ってもまだコントレイルは馬群のなかにいた。
矢作は見ていて、ヒヤヒヤしたという。
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photograph by Keiji Ishikawa