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<伝説の助っ人の回想> ラルフ・ブライアント 「憧れの投手にノモは似ていた」

2020/08/28
近鉄の大砲、ラルフ・ブライアントが野茂英雄の実力と個性を語った。
元近鉄の大砲が明かす、野茂が想起させた思い出の名投手、そして'94年オフに鳴った一本の電話とは。

 野茂がメジャーリーグでデビューしてから、25年も経つって!? ってことは近鉄でチームメイトになってから30年が経つってことか。信じられないね。そうか、あれから30年か……。

 彼が近鉄で初勝利をあげた試合は、今でもはっきり覚えているよ。オリックスを相手に17奪三振。そのシーズン前の日向のキャンプで既に彼の周りにはTVカメラや記者たちがずらっと並んでいたけれど、社会人野球からドラフト1位で入団した彼の実力を僕はその試合ではっきり感じて、納得させられたんだ。

ルイス・ティアントを思い出した。

 新人なのに、彼はその年たくさんのタイトルを獲ったよね('90年に最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手四冠に加えて、ベストナイン、新人王、沢村栄治賞、MVPも獲得)。それに何より、あの独特の投球フォームだ。あれを見た時、レッドソックスなどで活躍したキューバ出身の右腕、ルイス・ティアントを思い出したんだよ。子供のころ彼のプレーを見るのが僕は大好きだったんだ! 一度体をセンター側に向けてバッターに完全に背中を見せてから、グイッと向き直って投球する。その変則的なフォームで、彼は通算229勝をあげたんだ。

 そんなティアントみたいに、野茂は実力と個性を兼ね備えていたよ。彼のフォークボールは日本野球界の中でも明らかに別格だった。変化が多彩で、縦に落ちるものとシンカー気味に利き手側に落ちるものと2種類を投げ分けてたと思う。対戦相手じゃなくてよかったと思ったものだよ(笑)。

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photograph by Naoya Sanuki

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