山中 初めまして。野茂さんは今、東京にいらっしゃるんですか。
野茂 いつもは1シーズンの半分くらいはサンディエゴ(パドレスのアドバイザー)で過ごすのですが、コロナの影響で今年は2月のアリゾナキャンプを最後にアメリカには行けず、東京中心の生活です。
山中 僕も2007年から13年間、最低月1回、多い時は月2回ほどサンフランシスコの研究所に行っているのですが、半年間行けていません。僕はランナーでもあるので、夏に涼しいサンフランシスコで走るのが楽しみのひとつなのにそれもできず……。8月の京都や大阪を走るのは、暑すぎて命の危険すら感じますから。
野茂 この時期のカリフォルニアは過ごしやすいですよね。
山中 今回の対談では、まず野茂さんに感謝の気持ちをお伝えしたいと思っていたんです。というのも僕は'93年から3年間、サンフランシスコのグラッドストーン研究所に留学していて、野茂さんがロサンゼルス・ドジャースに入った'95年はまさに、アメリカで研究に勤しんでおりました。同僚に日本人はおらず少し萎縮しながら日々仕事をしていたわけですが、野茂さんの活躍はアメリカ人の心もとらえて、毎日のようにその話題で盛り上がりました。日本人として得をした気分になると同時に、僕自身とても勇気づけられました。
野茂 ありがとうございます。現役中にも、みなさんにそのようなことをおっしゃっていただく機会はあったのですが、引退した後の方がより多くの声をいただきます。そう考えると現役時代に日系人のコミュニティーに対してもっとできることがあったんじゃないかと後悔しています。ファンと距離を近づける方法があったのではないかと。
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