#1007

記事を
ブックマークする

『あめつちのうた』 人生もグラウンドも整備が大事。 阪神園芸が舞台のお仕事小説。

2020/07/28

 湿度が高くなるちょうどこの時期、芝生の香りが濃く広がり、夏芝が青々としてくる。真夏の炎天下、冬の凍り付くような寒さでの作業。本作からはその匂いも、温度も伝わってくる。小説ではあるが、本書では阪神園芸のプロの技が忠実に描かれている。例えば冬に行われる“天地返し”は1年のグラウンド状況を決める大事な作業。硬くなった土を掘り起こし、雨のタイミングをみてじっくり固めていく。阪神園芸の金沢健児施設部長が「俺が書いた本より詳しく載ってるわ!」と笑うほどの描写。精魂込めて手入れされていく土を通して、様々な人生をリアルに描きだしている。

会員になると続きをお読みいただけます。
オリジナル動画も見放題、
会員サービスの詳細はこちら
特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Sports Graphic Number

0

0

0

前記事 次記事