著者は作家の村上春樹。本誌増刊PLUS号に寄せたオーストラリア・シドニー五輪(2000年)の観戦日誌などを元原稿とするが、終始、作家の視線というものを知覚させてくれる作品である。
村上は元来、オリンピックへの関心は低かったが、1冊書こうと思って当地へやって来る。ホッケーなど見たこともなく、ルールも知らない。観戦しつつ、「僕はいったいここで何をしているんだろう?」と思ったりする。
種目で好きなのはトライアスロンとマラソンを含む長距離走。両種目への記述はやや熱っぽい。さらにもっとも熱っぽいのは、陸上女子400メートル走でキャシー・フリーマンが金メダリストとなったくだりである。
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photograph by Sports Graphic Number