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『オリンピックと商業主義』 五輪とカネのかかわりを その歴史から再考する。

2020/07/29

 歴史をさかのぼりつつ、五輪とカネを解きほぐす書である。著者は、本誌の長期連載「Number on Number」の書き手でもあるスポーツライターの小川勝。

 巨大イベントは理念やお題目だけで成立するわけではない。カネの問題は五輪にまとわりつき続けた。近代オリンピックの黎明期は富豪の寄付、万博の一環、宝くじ、自治体予算などで成立していた。それまでのスケールを超え、国家的事業として行われたのがナチスの五輪ともいわれたベルリン大会(1936年)。

 戦後は、メルボルン大会('56年)あたりまでは慎ましき五輪であったが、ローマ大会('60年)からテレビ放映権料が収入源に加わる。東京大会('64年)ではメーカーから選手へのシューズ提供など「緩やかな商業主義」がはじまり、ミュンヘン大会('72年)からは「大会エンブレム」など商業化へのカーブが切られた。

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photograph by Sports Graphic Number

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