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『わたし革命』 何のために走るのか。 非エリートの自間の軌跡。

2020/06/17

 1992(平成4)年、バルセロナ五輪の女子マラソンをテレビ中継で観ていた。2位に入ったショートカットのランナーは、トラックを回り、スタンドの声援に手を振って応えている。いかにも楽しげだ。日本のマラソン史は重苦しいが、こんな選手が登場する時代になったのだ……新鮮だった。

 本書は、ランナー有森裕子が、自身の歩みと心模様を綴った回想記である。

 岡山の出身。「取り柄のない女の子」だったとある。中学の運動会、トップでテープを切る。「一瞬だけ光が当たる瞬間。それが運動会だった」ともある。

 就実高・日体大で陸上を続けるが、インターハイにも国体にも無縁、女子駅伝は補欠。リクルート・ランニング・クラブに頼み込んで入部するが、監督の小出義雄は「駄馬」にたとえたとか。

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photograph by Sports Graphic Number

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