目の焦点が合わない。新聞を読んでも文章が頭の中に入ってこないし、思考することもできない。心臓の鼓動が激しく、手足も冷たくなり、寝たきり状態なのに睡眠もとれない。喜怒哀楽の感情もなくなり、五感が麻痺してくる。2009年、森崎和幸が語ってくれた具体的な症状は、「うつ病」について何もわかっていなかった筆者の心に深く突き刺さった。
同じ年の8月17日、8カ月ぶりに戻ってきた森崎浩司を練習場で見たサポーターが「新しく補強した選手ですか」と聞いてきた。げっそりと痩せた体躯、真っ白に透き通り血色が消えた肌、活力のない動き。実はこの姿ですら回復途上だったという事実を後に知った。
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photograph by Sports Graphic Number