相撲界には「一代年寄」という制度があり、横綱中の横綱、高いハードルを超えた大横綱に限り、引退後にしこ名のまま親方として部屋を持つことが許されている。大相撲の長い歴史の中で、大鵬、北の湖、千代の富士(辞退して九重を継承)、貴乃花の4人しかいないというのが絶大な重みだ。
競馬界なら、武豊騎手が唯一無二の大横綱。突き抜けた存在として輝き続けている。本人は「調教師になる気はない」ともらし、「難しいのはわかっているが、5000勝は是非とも達成したい」と、事実上の生涯現役騎手宣言をしている。
しかし、その方向性の裏には、調教師の70歳定年が足かせになっているのが容易に推察できる。武豊が還暦まで騎手でいてくれるのはファンとしてもうれしいが、それから調教師に転身したところで残り時間は10年もない。自分の目利きで仕入れた馬が活躍するまでの時間を考えれば、10年どころか6、7シーズンしか活躍のステージがないわけで、それでは魅力的な第二の人生とは言えない。
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photograph by KYODO