リゾート地として知られる地中海の島で、日本の18歳は救世主として期待される。レアル・マドリーとの深い関係や日本との縁を、地元の人々が語った。(Number985号掲載)
マジョルカ島はスペイン本土から東へ150kmほど進んだ地中海に浮かぶ、バレアレス諸島最大の島だ。人口は約85万人。夏になると北のほうから大勢の観光客がバイキングみたいに押し寄せてくるので、その数字は少しだけ増える。
久保建英がこの島にやってきたのは8月も終わりを迎えた頃だった。
レアル・マドリーの若手がマジョルカに来るらしい――。
そんな噂がメディアで流れはじめてから加入決定まで時間はかからなかった。空港に駆けつけた地元記者たちは主役を取り囲み、島で発行される一般紙「ディアリオ・デ・マジョルカ」も「ウルティマ・オラ」も、一面に大きく久保の写真を使い大々的に報じた。2季前まで3部リーグを戦っていたマジョルカは奇跡と呼ばれる2季連続昇格を果たし、7季ぶりにリーガ1部に復帰。そんなときにレアル・マドリーから話題の若手がやってきた。久保の加入はこの夏の一番のニュースだった。
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photograph by Kazuhito Yamada