#976
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<進化を続けたイチロー> ラストプレー「3.78」。 走力は最後まで伸びていた。

2019/04/15
現役最後の打席、遊ゴロで一塁へ全力疾走。到達タイムは3.78秒だった。
走攻守、すべてにおいてハイレベルな技術を備えたイチローが、
40歳を超えても進化し、可能性を示したのが「走塁」だった。
驚異の一塁到達タイムと盗塁に込められた超一流の哲学――。

 2019年3月21日、午後9時27分、東京ドーム。4対4で迎えた8回2死二塁の勝ち越し機。

 イチローはメジャー通算10734回目の打席に向かった。

 満員の46451人のファンは「イチロー」コールを送り、メジャー通算3090安打となる勝ち越し適時打を望んだ。

 ベンチではマリナーズナインが総立ちで固唾を呑み、歴史的打席に食い入った。その中、菊池雄星はひとり目を赤く染め、涙していた。

 カウント1-2。救援右腕トリビーノが投じた144kmのスライダーを叩いた打球が遊撃前へ転がる。

 歯を食いしばり、鬼の形相でイチローが一塁を走り抜ける。

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photograph by Naoya Sanuki

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