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『晩夏のプレイボール』美しく端正な文体で描かれる、“野球のある人生”の物語。

2018/09/08

 プレイボールの声と共に、モーターサイレンの音が響き渡る。

 これを書いている今は、まさに盛夏で、ちょうど百回目の甲子園大会が行われているのだが、清しく闘う球児たちの姿は美しい。彼らだってただの高校生男子であることはわかっているし、美化したり、妄想を押しつけたりしているわけではない。ただ、年を取れば取るほど、彼らのことを美しく感じる。

 甲子園という特殊な場所の、特殊な季節の、特殊なシチュエーションだから、美しく感じるのだろうか? いや、そうではない、ということが、この小説を読めばわかる。盛夏ではなく、晩夏のプレイボール、というタイトルがそれを象徴しているかもしれない。

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photograph by Sports Graphic Number

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