インタビューというのは相手と対峙するものだが「プロインタビュアー」吉田豪のそれは、相手と並走しているように思える。話を聞き出す誰かを「よいしょ」するのではない。できれば切り込みたくない所にも切り込み、濃厚な告白も殺伐とした話も「ダハハハ!」と笑って受け止める。聞き手が話し手の話題を増幅することは、確かにあるのだ。
『吉田豪の空手★バカ一代』は雑誌『BUBKA』のインタビュー連載の中から空手家や格闘家関連の話をまとめたもの。士道館館長・添野義二との話は立食パーティ中の取材だし、全日本キックボクシング協会初代王者の藤原敏男との話も4時間酒を呑みながら続けたもの。形式張ったインタビューはひとつもない。だからこそ、すべての逸話が血の通ったライヴといえるし、そこから引き出される話は本音以外の何ものでもない。そう、この本で読めるのは酒と女と喧嘩と意地とやせ我慢の話ばかりなのである。
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photograph by Wataru Sato