先日、'10年にESPNが製作したドキュメンタリー番組「さらば モハメド・アリの時代」の再放送を、仕事の締め切りに目をつぶって、つい最後まで観てしまった。
'80年10月に行なわれたモハメド・アリ対ラリー・ホームズ戦を当時の映像と関係者の証言で回想する内容だったが、この世界ヘビー級タイトル戦は“グレーテスト”アリの数々の名勝負に含まれる試合ではない。それどころかアリが無敵王者ホームズに挑んだものの、往時とは別人の衰えぶりをさらし、途中ホームズがストップを望んだほどの惨敗となった。
次の最終戦とともに「アリがやってはいけなかった最後の2試合」としてしばしば取り上げられる。引退時期を誤ったおかげで、余計なダメージを蒙ったというのだ。いまアリが抱えるパーキンソン症候群は、パンチドランクとは直接関係がないともいうが、“ルイビル・リップ”とあだ名され、立て板に水のようにしゃべったアリが、もの言わぬ人になってしまった姿を見るのは悲しい。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Getty Images