殊勲の星をあげたヌーヴォレコルト(牝3歳、美浦・斎藤誠厩舎、父ハーツクライ)が、今後どれほどの栄光を積み重ねて行くかで人々の印象が変わっていく可能性はあるだろう。しかし'14年のオークスは「ヌーヴォレコルトが勝った」ではなく、「ハープスターが負けた」レースとしてファンの胸に深く刻み込まれた。
現代競馬の常識からかけ離れた、最後方待機から直線大外強襲という戦法だけで敵をなぎ倒してきたのがハープスター(牝3歳、栗東・松田博資厩舎、父ディープインパクト)という天才少女だ。このオークスも、桜花賞のときの18番手からではなかったものの、最後方に近いポジションから直線で大外に持ち出して一気の脚を繰り出した。上がり3ハロンは33秒6。これは出走メンバー中最速で、勝ち馬よりコンマ6秒も速いのだから、伸びきれなかったという論評は的を射ていない。あの戦法自体が自信過剰という論評も耳にするが、そこは当事者以外にはわからない事情があるはず。好き好んで危ない橋を渡っているはずはない。
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