「野球人にとって辛いのは、子供が野球を分かり始めた頃に自分の力が落ちてきて、いいところを見せられないことだ」。
今年40歳になる小笠原道大を見ていて、山崎武司のこんなセリフを思い出した。
故障が続いた昨季は、出場わずか34試合、14安打に終わった。“フルスイング”をしても、打球は上がらず、小笠原の悩みは深まるばかりだった。オフの契約更改では、球界史上最大の3億6000万円のダウンを受けいれた。
「体さえ元に戻ればこんなものじゃない、と思い続けるのが野球選手」
昨年引退した金本知憲はかつて自嘲気味にこう話していたことがある。寡黙な小笠原は自らの不調の原因について多くを語らないが、同じように思っているに違いない。だからこそ大幅ダウンにも平然とサインをしたのだろう。
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photograph by KYODO