地方の古い高校に行くと、グラウンドの脇に自転車を止めて、野球の練習を見ているお年寄りたちに出くわす。「土手クラブ」とか「桜クラブ」などと名前がついていることもある。押しかけの私設応援団である。
「昭和38年はなんとか商業に準決勝でやられて」
「そうそう、いい投手だったな、向こうは」
そんな話をしながら、飽きることなく練習を見ている。昔、秋田県ではじめてそこの「土手クラブ」のメンバーと話したときは、その情熱のよって来たる所以が今ひとつわからなかったが、年齢が近くなった今は、なんとなくわかる。地縁、血縁、母校愛、なんでもいいが、細い糸をたどってつながりのあるものを確認するのが楽しいのではないか。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Shigeki Yamamoto