「おぉ……」
配られたメンバー表を見た報道陣から、どよめきが上がった。5月23日に開かれた、パシフィックネーションズ杯(PNC)の日本代表発表会見。代表リストには、昨年のW杯で主将を務めながら、今春の新体制始動時には外れていた、菊谷崇の名前があったのだ。
「アジア5カ国対抗での選手の取り組みぶりには満足している。しかし、我々は常に成長し続けなければならない。より強くなるためにこのスコッドを選んだ」
エディ・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、そう言うと菊谷の名を挙げた。
「菊谷は日本でトップクラスの才能を持つ選手の1人。これまでは第3列だったが、新しく左ロックに挑戦してもらう。世界のレベルでは、左ロックにはスピードとスキルが必要。菊谷とは先日名古屋で直接会ってそれを話し、彼自身から『挑戦したい』という言葉を聞いた」
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photograph by Shinsuke Ida